2018年4月13日金曜日

2018年3月20日火曜日

Frontiers in Psychology誌に論文を発表しました

深層学習によって「蛇の回転錯視」の知覚再現に成功しました。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2018.00345/

基礎生物学研究所 神経生理学研究室の渡辺英治准教授は、同研究所の八杉公基研究員と立命館大学の北岡明佳教授、生理学研究所の坂本貴和子助教、サクラリサーチオフィスの田中健太博士との共同研究によって、深層学習機が「蛇の回転錯視(注1)」が引き起こす運動知覚を再現することを、新たに発見しました。

深層学習機は、脳の神経ネットワーク構造や動作原理を参照して設計された人工知能のひとつであり、近年、画像分類や音声認識など、幅広い分野で画期的な成果を収めているだけでなく、脳の動作メカニズムを研究するためのツールとしても期待が高まっています。

今回研究グループは、大脳皮質の動作原理として有力な仮説のひとつである「予測符号化(注2)」を組み込んだ深層学習機(PredNet)によって、錯視の再現ができるかどうかを検証しました。深層学習機に、我々の日常生活などの自然な情景を撮影した動画(約5時間)を繰り返し学習させたところ、学習した後の深層学習機は、実際に動いているプロペラが回転する動きを予測するだけでなく、「蛇の回転錯視」が引き起こす、あたかも画像が回転しているかのように見える回転運動様の錯覚すらも再現することがわかりました(図1)。

本成果は、錯視を深層学習機が再現した世界で初めての事例であり、錯視を引き起こすメカニズムのひとつとして予測符号化理論が有力な仮説であることを支持しています。今後、錯視を判断基準にした深層学習は、脳の動作原理の解明に貢献すると期待されます。本成果は2018年3月15日付けで学術誌 Frontiers in Psychologyに掲載されました。研究内容の詳細につきましては、基生研のプレスリリースにて。

【図1】蛇の回転錯視(左図は左回転、右図は無回転)の運動知覚が深層学習機によって再現されました。連続した二枚の予測画像からオプチカルフローを検出し、ベクトルとして表現した(黄色の点がベクトルの始点、赤い線がベクトルの方向と大きさを示しています。











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Frontiers in Psychology (2018) Volume 9, Article 345.
“Illusory Motion Reproduced by Deep Neural Networks Trained for Prediction” 
Eiji Watanabe, Akiyoshi Kitaoka, Kiwako Sakamoto, Masaki Yasugi and Kenta Tanaka
DOI: 10.3389/fpsyg.2018.00345
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注1)
蛇の回転錯視:立命館大学の北岡明佳博士が2003年に考案した錯視(「北岡明佳の錯視のページ」http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/)。静止画であるにもかかわらず強い運動知覚を生じさせる。人だけではなくサルやネコ、魚にも知覚されると考えられている錯視であり、生理学的な知見も集積している。北岡博士は、蛇の回転錯視以外にも多くの錯視を考案しているが、中でも特に2008年に発表されたシマシマガクガク錯視は、米国アーティストであるレディー・ガガのアルバムジャケットに採用されたことで有名。
http://www.ritsumei.jp/news/detail_j/topics/12336/year/2013/publish/1

注2)
予測符号化:RaoとBallardによって1999年(Nature Neuroscience)に提唱された視覚系大脳皮質の動作原理に関する仮説。大脳皮質は常に視覚世界の予測をしており、感覚入力と予測との誤差のみを学習しているとする。現在大脳皮質の動作原理を説明する仮説の中では最も有力なもののひとつ。
https://www.nature.com/articles/nn0199_79

追記)
本論文は、Frontiers in Psychology誌のPerception Science分野のチーフエディターであるRufin VanRullenのレビュー、
VanRullen, R. (2017). Perception science in the age of deep neural networks. Front. Psychol. 8:142. doi: 10.3389/fpsyg.2017.00142
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2017.00142
の檄文を受けてFrontiers in Psychology誌に投稿されたものです。

私たちの研究グループは、錯視を生じさせる神経ネットワークが予測学習による結果として生じているのではないかという仮説を2010年に提唱しています。
Watanabe, E., Matsunaga, W., and Kitaoka, A., Motion signals deflect relative positions of moving objects, Vision Research 50, 2381-2390 (2010)
今回の深層学習による研究は、このときの仮説をより直接的に検証したものになります。

本論文の最後の下りで「逆心理学(Reverse Psychology)」という手法を提案しています。逆遺伝学が要素である遺伝子から生物個体の表現型を解き明かしていったように、逆心理学では要素であるニューロンの働きから心の表現型を解き明かしていくことを期待しています。逆心理学が新しい神経科学の地平を切り拓いてくれるでしょう。

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Frontiers Featured NEWS (2018) April 26

https://blog.frontiersin.org/2018/04/26/artificial-intelligence-tricked-by-optical-illusion-just-like-humans/


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ニュートン 2018年6月号 フォーカス記事

http://www.newtonpress.co.jp/


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A neural network trained to predict future video frames mimics critical properties of biological neuronal responses and perception (28 May 2018)
PredNetの考案者らによる続報です。主観的輪郭、フラッシュラグ効果がPredNetによって再現されています。

https://arxiv.org/abs/1805.10734


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動き錯視を再現する簡単なモデル(2018年6月9日)
簡単な数理モデルで回転錯視を再現しようと試みています。深層学習による回転錯視の再現との対比が面白く展開しましています。

https://qiita.com/stnk20/items/c36bef359a8f92d058b0 https://twitter.com/stnk20/status/1003963496050987008

2018年3月5日月曜日

3DCGメダカ作成マニュアル

3DCGメダカ作成マニュアルをリリースしました。
動物の写真だけから動物の立体モデルを簡単に作成することができます。
動物行動学をはじめ様々な用途があると思います。

八杉公基研究員の作品です。是非ご活用下さい。

https://doi.org/10.6084/m9.figshare.5947066

2017年9月5日火曜日

メダカの色覚の季節変化

季節によって色が変わるメダカ(基生研プレスリリースより)

基礎生物学研究所 季節生物学研究部門との共同研究の成果が、論文として発表されました。私たちのラボで開発されたメダカのバーチャルリアリティ提示システムが使用されました。

詳細は、基生研プレスリリースにて。

Nature Communications 2017年9月4日18時掲載
論文タイトル:“Dynamic plasticity in phototransduction regulates seasonal changes in color perception”
著者: Tsuyoshi Shimmura, Tomoya Nakayama, Ai Shinomiya, Shoji Fukamachi, Masaki Yasugi, Eiji Watanabe, Takayuki Shimo, Takumi Senga, Toshiya Nishimura, Minoru Tanaka, Yasuhiro Kamei, Kiyoshi Naruse, Takashi Yoshimura (新村毅、中山友哉、四宮愛、深町昌司、八杉公基、渡辺英治、下貴行、千賀琢未、西村俊哉、田中実、亀井保博、成瀬清、吉村崇)
http://dx.doi.org/10.1038/s41467-017-00432-8

2017年4月12日水曜日

PLOS ONE誌に論文を発表しました。

基礎生物学研究所(神経生理学研究室)の中易知大研究員(現信州大学)、八杉公基研究員、渡辺英治准教授らと、九州大学の白石壮馬大学院生(現NEC)、内田誠一教授の研究グループは、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)アニメーションなどのヴァーチャルリアリティ技術を取り入れ、実物とほとんど見分けがつかない「ヴァーチャルメダカ」を作成し、これを用いることで、メダカが色、形、移動軌跡(全体的な動き)、体軸運動(尾ビレなどの局所的な動き)など様々な情報を駆使して、群れる相手を選択することを明らかにしました。色、形などの形態情報に加えて、移動軌跡、体軸運動などの運動情報を同時に統制・操作できるヴァーチャルメダカを開発することで従来不可能であった研究が可能になり、動物がどのように同種・異種を判断しているのかなど動物の群れ形成および視覚認知メカニズムの解明につながると期待されます。

メダカの三次元モデル
掲載論文
Three-dimensional computer graphic animations for studying social approach behaviour in medaka fish: Effects of systematic manipulation of morphological and motion cues
Tomohiro Nakayasu, Masaki Yasugi, Soma Shiraishi, Seiichi Uchida, Eiji Watanabe
Research Article | published 11 Apr 2017 PLOS ONE
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0175059

関連するデジタルコンテンツ(フリーで使用できます)
http://www.nibb.ac.jp/neurophys/download/
1)ポリゴンモデル(3dsMAX)スタジオ和オリエント(株)作製
2)動画(MP4)
3)オブジェクトトラッカー(Medaka Fish Tracker 3.7 for Windows)


プレスリリース(基生研HP)

★参考動画(YouTube)


2016年2月1日月曜日

3Dアニメーションモデルによるメダカの社会性行動の解析

精密なメダカの3Dアニメーションモデルを構築し、
メダカの社会性行動の解析を行っています。

成果の一部を以下の学会で報告しました。

The Sixth International Symposium on Aero Aqua Bio-Mechanisms (Honolulu, Hawaii)

第38回日本神経科学大会(横浜)

Behaviour 2015 (Cairns, Australia)
"How to hack animals using virtual reality technologies" Tomohiro Nakayasu and Eiji Watanabe (招待講演)

メダカ♂3Dポリゴンモデル

2014年2月28日金曜日

オカザえもんが来所

2014年2月19日、オカザえもんにご訪問頂きました。オカザえもんは、愛知県岡崎市の岡崎アート広報大臣。この度、研究所の取材及び広報のために来所されました。

そのときの様子は、岡崎PR実行部隊&オカザえもん事業のブログ「だもんで岡崎!!オカザえもんと一緒編 中編」「だもんで岡崎!!オカザえもんと一緒編 後編」で詳しく紹介されました。

今回、オカザえもんは生理学研究所(主に小松研)と基礎生物学研究所の2カ所を訪問されましたが、ここでは基生研での様子を写真でご紹介します。

オカザえもんが基生研にやってきた!

「だもんで君」が基生研の受付に!

基生研が誇る世界最大の超大型分光照射設備

超遠心機で分離されたサンプルを手にするオカザえもん

研究室にて、ラボベンチに陣取るオカザえもん

クラミドモナスとオカザえもん

クラミドモナスを観察するオカザえもん。その向こうには!

基礎ざえもん(非公式)! 基礎ざえもんは、地球で最も基礎的な生きもの

オカザえもんを指導する基礎ざえもん

実体顕微鏡で試料を観察するオカザえもん

オカザえもんを熱血指導する基礎ざえもん

歴史的ツーショット!

ミヤコグサとオカザえもん

そろそろお別れでござる


お世話になりました

記念撮影!!

山手地区の研究棟前(1)

山手地区の研究棟前(2)

山手地区の研究棟前(3)

IBBPセンターの液体窒素タンク群とオカザえもん

タンクには全国の研究者からお預かりした貴重なサンプルが大切に保存されています

メダカたちとオカザえもん

メダカじゃらし

生理研、基生研の皆様、オカザえもん、スタッフの皆様、お疲れ様でした!


*写真撮影は、基生研広報室の倉田智子さんと太田京子さんによるものです。


2013年12月12日木曜日

棚の影錯視

上向きの影が下向きの影より濃く見えるという錯視です。
上下を反転させると確かめることができます。

4つとも同じ影だが上向きが濃く見える

オカザえもんバージョン


写真バージョン (右写真をコピペして上下反転)

*棚の影錯視は第五回錯視コンテスト(2013)の入賞作品です。
*北岡先生にVisiomeに登録して頂きました!

Eiji Watanabe, Shelf-Shadow Illusion, 2013