2010年10月20日水曜日

デルタモデル


delta model

 デルタモデルは、私たちの視覚を説明するための試案です。このデルタモデルでは、高次中枢で合成されている予測信号と、感覚器由来の感覚信号の2種類の信号を想定しています。予測信号は、感覚信号に対して『引き算』をされ、常に差分(デルタ)が計算されます。その差分は高次中枢の学習に使用されると同時に脳神経系のドライビングフォースになっているとします。高次中枢は、この学習を続けることによって、より正確な予測信号を合成できるようになります。このような考え方は、小脳の運動制御メカニズムや、ドーパミン系の期待制御メカニズムなどにも見ることができます。

 デルタモデルでは、運動信号による位置ズレのような錯視は、運動体の正確な位置予測(情報は過去未来の両方を使用)を行っているために生じていると考えます。

 また、デルタモデルの中核的なコンセプトとなる『引き算』は、運動残効(Motion Aftereffect)や図形残効(Figural Aftereffect)など、各種残効(アフターエフェクト)の説明にも適用することもできます。と言いますのは、残効ではあたかも演算符号が逆転したかのような錯視効果が認められるからです。

詳細は論文にて。

Watanabe, E., Matsunaga, W., and Kitaoka, A., Motion signals deflect relative positions of moving objects, Vision Research  50, 2381-2390 (2010) [pubmed]

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